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ユーロリーグ:試合中のウェアラブルを承認、活用方法

  • 執筆者の写真: Douglas Bewernick
    Douglas Bewernick
  • 10月2日
  • 読了時間: 7分

ユーロリーグで試合中のウェアラブル機器の使用が承認され、バスケットボールのパフォーマンスにおける大きな転換期に突入しました。チームは試合中のライブデータにアクセスできるようになり、トレーニングと競技を一致させ、ローテーションを最適化し、怪我のリスクを低減し、リカバリーを個別化することが可能となります。 この変化は、準備と現実との間に存在したギャップを埋め、コーチ、メディカルスタッフ、そしてアスリートに決定的な競争優位をもたらします。


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が変化したのか?重要な点は?

これまでは、試合中のウェアラブル機器の使用が認められておらず、コーチやパフォーマンススタッフが競技中に客観的なライブデータを得ることはできませんでした。そのため、トレーニング指標をもとに計画の大半が立てられ、試合の実際の負荷は映像や観察から推測するしかありませんでした。 

今後は試合中データの利用によって、チームはトレーニングと試合の負荷を比較し、疲労指標に基づいたローテーション管理や、怪我のリスクを高める急激な負荷スパイクを特定することが可能になります。リカバリーも仮定ではなく、実際の競技ストレスに基づいて設計できるため、個々の選手プロファイルに沿った医療的・戦術的判断を導くことができます。  


オリンピア・ミラノのパフォーマンスチーム責任者であるコスタス・ハジフリストス氏は次のように述べています。


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「ユーロリーグにおける試合中のウェアラブル承認は、パフォーマンス最適化に向けた大きな前進です。我々は長年、KINEXONのテクノロジーを活用してトレーニング負荷の監視、リカバリー管理、準備の個別化を行ってきました。しかし、試合中にリアルタイムでデータを取得できるようになったことで、重要なギャップが埋まりました。これにより競技の真の要求に直接アクセスでき、トレーニングと現実を一致させ、怪我リスクを低減し、パフォーマンス基準を高めることが可能です。現代のハイパフォーマンスプログラムにおいて、これは単なる機会ではなく競争優位なのです。」 



ーチが試合当日に得られるもの  

試合当日、スタッフは外的負荷の主要指標をリアルタイムで追跡が可能に。

例えば

  • 全体的な選手の負荷

  • 高強度の動作

  • 加速・減速

  • ジャンプ回数


といったデータから、機械的ストレスの明確な実態に向き合えることができます。

これにより、ローテーションや交代を自信を持って判断できるようになります。  

練習での活用

  • 選手の負荷が限界に近づいたタイミングの確認 

  •  復帰プロセスの支援  

  • 週に2回試合がある時の練習の負荷管理  

  • 戦術的ペース目標と選手負荷の比較評価  


ポーツサイエンス ― 簡潔で実用的に

試合でのデータを管理することの狙いはデータの「数を増やすこと」ではなく「より良い判断を下すこと」です。ライブデータの管理ができるようになったことで、以下の3つの知見がより実践に活用・応用できます


  1. 急激な負荷スパイクは怪我リスクを高める。 急性慢性負荷比(例:1.5以上)の急上昇は、エリートチームスポーツにおいて軟部組織損傷(骨以外の筋肉・靭帯・腱・皮膚・脂肪・神経などの柔らかい組織が、外力によって損傷)のリスク増加と関連しています。 (参考:Gabbett, 2016; Hulin et al., 2016)

  2. 試合での負荷がリカバリーの必要量を決定する。 高強度加速・減速、ジャンプなどの外的負荷指標は、神経筋疲労および翌日のコンディションに関連しています。(参考:Fox et al., 2018)

  3. 練習と試合のギャップを減らす 試合から得た強度・密度を基に練習のドリルを構築することで、練習とプレーオフで求められるレベルの差を小さくできます


習への応用と実務への落とし込み

  • 負荷管理:選手ごとに、総負荷・加速・減速の回数・ジャンプ量の上限を設定します

  • リアルタイムデータ(出場や交代判断など)はコーチの意思決定を「代替」するのではなく「補助」するために用いります

  • 試合のデータを基に、リカバリーや翌日の練習設計を、実際の試合負荷に基づいて計画をたてます


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KINEXONの貢献 ― ハイレベルなバスケットボールのために設計

KINEXONは、バスケットボール特有の要求に応える技術を提供しています。屋内スポーツに最適化されたトラッキングシステムにより、試合中でも信頼性の高いデータを確保しています。データを確認するダッシュボードは、特に出場・交代のタイミング(ローテーション)復帰時の負荷の上限の管理、試合のスピードやテンポを管理したいコーチのニーズに合わせ作られています。

1つのデバイスで練習と試合の双方で使えるため比較が簡単です。選手個別のプロファイルや長期的な傾向の追跡により、より詳細な分析が可能になります。また、メディカル・映像・スカウティングのワークフローにおいてスムーズに統合できるので、得られた情報をすぐに現場で活かせます。これまでのデバイスを使ってきたコーチ陣は「明確な基準値」「リカバリー計画の迅速化」「主力選手を常に出場可能に保つサポート」を高く評価しています。


ータを基にした意思決定(事例)

  1. 交代確認 状況:主力選手が第3Q終盤に設定した総負荷値(減速・ジャンプ)の上限に近づいている。 判断の補助:終盤の出場余力を残すため、交代判断を下します。

  2. 復帰プロセス管理 状況:怪我をし戦線を離脱した選手が第2段階の復帰プロセスをクリア。 判断の補助:高強度動作とジャンプ量をあらかじめ合意した上限内に制限します。

  3. 遠征直後の練習設計 状況:遠征後にフロントコート陣の運動密度が高い 判断の補助:翌日の練習では方向転換など負荷の高い動きを減らし、代わりにモビリティやシュート量に重点を置きます


装ガイド(最初の30日)

第1週:基準としきい値 負荷・強度帯・運動密度などの定義を関係者間で統一 

トレーニング履歴から選手ごとの初期しきい値を設定

第2週:試合当日のワークフロー スタッフの役割を割り当て(例:ライブ計測のモニタリング、ベンチへの伝達、試合後レポート) リアルタイムデータを活用し、試合後に実際に行った判断と結果を比較し確認

第3週:復帰・ダブルウィークの指針復帰選手の運動量と強度の上限を設定週に2試合ある過密日程に対応するため、累積負荷を確認できるダッシュボードを構築

第4週:設定した数値のレビューと調整選手のポジションや役割に応じて、負荷や動きのしきい値を細かく調整 

コーチ、メディカル、フロントオフィス向けレポート報告タイミングや頻度を確定


ーチからのFAQ

  • これはコーチの判断に換わるものですか? A:換わりになるものではなく、客観的に確認できる情報を提供し、スタッフ間の共通の理解を持つための補助になります。

  • プレーオフではどう役立ちますか? A:試合データに基づくしきい値により、練習をプレイオフの強度に合わせることができ、選手の出場時間を調整して終盤に余力を残すことが可能です。


  • 選手の納得感はどう得られるのですか? A:選手個別のプロファイルで、それぞれの反応を可視化できます。「より出場可能な状態を保てる」「パフォーマンス向上に役立つ」などのメリットを共有することで、信頼を得やすくなります


とめ

ユーロリーグにおける試合中のウェアラブル機器の使用を承認したことで、チームは試合で求められる負荷や動きの実態をより正確に把握できるようになりました。コーチにとっては選手交代(ローテーション)の管理をより的確に行えます。パフォーマンス・医療スタッフにとってはリスクの早期発見と、より正確な回復計画を立てられます。そして選手にとっては、実際の試合負荷を反映した準備が可能になることを意味します。KINEXON を通じて、チームは練習内容を試合に合わせて調整でき、過負荷による問題を減らし、選手の出場可能性を高め、練習から試合まで一貫したパフォーマンス基準を向上させることができます。


ポヲタが提供するテクノロジー

弊社は、日本のスポーツ界にもこの先進的な技術を導入し、選手の怪我予防、パフォーマンス向上をサポートします。「KINEXON」をはじめとするテクノロジーに関心がある方や、コラボレーションを希望される方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。


※本記事は、下記を翻訳・加筆修正を行い、提供しております。



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