スポヲタWeekly Report Vol-6
- maogushi
- 10月10日
- 読了時間: 7分
更新日:4 日前
📣米国女性スポーツスポンサーシップのトレンド📣

女性スポーツ界のスポンサーシップトレンド
医療、銀行・金融、外食、アルコール等の業界が依然として主要スポンサーであるが、美容・消費財・フェミニンケア・ジュエリー・育児・ペットといった新たな業種も増加中。
12リーグ・1300以上のスポンサーの調査結果は以下の通り
上位10業種(医療・銀行・サービス・外食・アルコールなど)が全体の55%を占める
全体の68%以上は2024年または2025年に開始されており、近年のスポンサー契約の増加傾向が顕著に分かる
新規業種(美容、消費財、フェミニンケアなど)の92%は2023年以降に参入
女性スポーツファンの特製
WNBAファンはNBAファンに比べて、美容・ビューティ系ブランドをSNSで積極的にフォローする傾向が強く、Fenty Beautyというブランドのフォロワーの中で、WNBAのファンがNBAファンの約3倍となっている。
女性スポーツチームのスポンサー平均費用は14〜17万ドルで、男性主要リーグ(55万ドル超)より大幅に安価。
Deloitte社の推測によると、女性スポーツのスポンサー市場規模は、以下の通りで、23年から24年での成長率は+91.6%と著しい。
22年 6.9億ドル
23年 9.8億ドル
24年 18.8億ドル
25年 23.5億ドル
Photo: *FLETCHER WOLD / Sports Business Journal
Writer: 清水
📣WNBAの労使協定の改訂議論において
NBAとの構造比較や関係性についても議論の的となるか📣

サマリ
選手たちの不満はコミッショナーのキャシー・エンゲルバートに向けられているが、NBAも同等の責任を負うべきとの指摘が出ている。
NBAはWNBAの42%の株を保有しており、ほとんどのチームがNBAオーナーによって運営されている。
仮にエンゲルバートが交代しても、NBAの構造的支配は変わらないと専門家は分析している。
構造的格差と支配の連鎖
リーグ全体収益の選手への収益配分率はWNBAが7%、NBAが51%と極端な格差があり、リーグは赤字運営を主張するが財務の透明性に欠けると批判されている。
シカゴ・サンタイムズは、エンゲルバートがリーグを財政危機から(※)拡張料合計10億ドル規模の成長軌道へ導いたと評価。しかし収益の半分以上がNBA側に流れ、チームには50%未満しか還元されていない。 ※WNBAに新規チームを参入させる際にオーナーが支払う「拡張フランチャイズ料(Expansion Fee)
NBAオーナーたちは支配権を手放す意志がなく、誰がコミッショナーになっても「ピラミッドの頂点にはNBAがいる」構造は変わらないとされた。
Photo: Getty Images / Sports Business Journal
Writer: ベク・チェイス
📣Somnee が Seed Extention で $10Mを調達、
第2世代AI搭載スマートスリープヘッドバンドをリリース📣

サマリ
今年6月にNBA Launchpadから1,000万ドル(約15億円)のシード拡張資金を調達したSomneeが、第2世代AI搭載スマートスリープヘッドバンドをリリース。
NBA / WNBAのスタッフ・コーチを対象としたパイロット研究で有望な成果が出ており、アスリート・チームだけでなく一般向け市場への展開も目指す。
研究データ
NBA / WNBA のスタッフ・コーチ 32名を対象とした6週間の試験では、以下のような改善が報告された:
睡眠の中断 15%減少
睡眠の質 13%向上
総睡眠時間 37分増加
REM(レム睡眠)時間 20%改善
補足情報
第2世代モデル(Somnee 2.0)は、快適性を改善し、AI を用いた個別化ニューロ刺激(脳刺激)および睡眠トラッキング機能を強化。
開発を監修する創業者の1人は神経科学者のMatt Walker氏で、技術面の信頼性を支えている。
2016年の『Journal of Sports Sciences』誌の発表によると、プロアスリートの4人に1人が睡眠障害に悩まされている。また、2011年にスタンフォード大学が主導した研究では、睡眠時間を延長することで、スプリント速度やシュート成功率といった運動能力が向上することが示されている。
Photo: Somnee / Sports Business Journal
Writer: ビタラフ・アドル
📣MLBミルウォーキーブルワーズ
マーク・アタナシオが築いた仕組みと信頼の経営📣

サマリ
小規模なチーム経営でも勝てる「仕組みづくり」
スター依存ではなく、データ分析・育成・内部昇格を軸に、持続的に競争力を維持。現場とフロントの方針が一貫しており、限られた資源を最大化して成果を上げている。
長期視点の経営と投資
マイナー施設や国際拠点への投資を通じて、短期の勝敗よりも未来の基盤を重視。 インフラ強化と人材育成を同時に進め、組織全体の底力を高めている。
地域との信頼関係と安定基盤
州や市との連携で2050年までの球場リースを実現し、地域密着型の運営を確立。 公的支援を得ながらも、球団自らも資金負担を行うことで信頼を獲得している。
補足情報
経営陣の継続性と信頼関係
オーナーのマーク・アタナシオは、現場に裁量を委ねつつも戦略的にサポートする姿勢。過度な介入を避け、責任と信頼のバランスで組織の安定性を保っている。
的確なリスクテイク
チームの財政規模を踏まえつつ、将来性のある選手には大胆な投資を行う。 「守り」と「攻め」の判断を使い分け、長期的なチーム価値を高めている。
異端としての象徴性
ブルワーズは、高年俸や大都市のメディア収入に頼らず結果を出す稀有な存在。 MLBの構造的格差の中で、運営の巧みさで勝つモデルを体現している。
Photo: Getty Images / Sports Business Journal
Writer: ビューワーニック・ダグラス
📣シカゴ・ベアーズの新スタジアム開発状況について📣

サマリ
NFLシカゴ・ベアーズは現在のホーム・スタジアムの老朽化を受け新スタジアムの建設を検討中。シカゴ市側は同市中心部での新スタジアム建設を希望する一方、球団側は郊外のアーリントンハイツに20億ドル(約3,000億円)規模のドーム型スタジアムを含む総額50億ドル(約7,500億円)超の複合開発を計画中。
球団はこれまでは公的資金を活用しない方針を打ち出していたが、今月に入り、球団は、スタジアム本体ではなく、周辺の道路・鉄道アクセスの整備・上下水道・駐車場などのインフラ整備費として8億5,500万ドル(約1,280億年)の公的資金による支援を要請。
球団側はこの複合開発により、40年間で22億8,000万ドル(約3,240億円)の公共収入が見込まれ、建設・運営の両段階で多数の雇用が創出されると主張している。
詳細
アーリントンの複合開発案は、スタジアムの周辺に住宅・商業施設・公共空間も整備するというもの。
計画を前進させるため、ベアーズは「メガプロジェクト法案」の成立、これによる固定資産税評価や法人税の軽減を求めている。
一方で、プリツカー州知事をはじめとする州当局は公的資金の投入に反対しており、恩恵の多くがベアーズの民間開発に偏ると批判。批評家の中には、この「インフラ限定の支援要請」は実質的にはスタジアム建設への公的資金投入であり、資金なしにはプロジェクト自体が成立しないと指摘する声もある。
出典: Chicago Tribune, Urbanize Chicago等
Photo: Urbanize Chicago
Writer: M
📣試合の質を高める審判のイヤーピース📣

サマリ
NBAは今季のプレシーズンで、全試合において審判がイヤーピースを装着する技術をテストしている。
イヤーピース着用により、審判同士とリプレイセンターをリアルタイムで接続し、試合の流れの改善と判定精度の向上を狙っている。
NFLやMLBでは一般化された技術であるが、NBAでは初の試みとなっており、レギュラーシーズンでの採用は未定となっている。
注目が集まるレギュラーシーズンでの導入
Secaucus(New Jersey)のリプレイセンターと3人の審判を常時リンクし、レビュー前の協議を迅速化。
過去のシーズンで問題視された「統一されない判定基準」や「長時間のビデオ確認」への対応策として導入された。
この試みはサマーリーグやGリーグでも段階的にテストされており、今後の公式導入が注目されている。
Photo: IMAGN IMAGES / FRONT OFFICE SPORTS
Writer: 山崎
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