ステフィン・カリーが挑む、科学で追求する完璧なシュート
- Douglas Bewernick
- 2025年12月26日
- 読了時間: 4分
本記事では、NBA史上最高のシューターとも称されるステフィン・カリー選手が、シュートトラッキングシステム「Noah(ノア)」をどのように活用し、シュート精度を極限まで高めてきたのか、その実例を紹介します。
データと天才が出会った瞬間

カリー選手の完璧なシュートを支える科学的な基盤は、ある研究者が趣味として始めた、バスケットボールのシュート研究からスタートしました。 その研究者が、当時バイオインフォマティクスの博士課程に在籍していた、がん研究者のレイチェル・マーティ・パイクです。
この研究の背景には、彼女の身近な環境がありました。パイク氏の父親は、シュート軌道を追跡するシステムの開発に関わっており、長年にわたって膨大なシュートデータを蓄積していました。しかし、そのデータを本格的に解析できる専門家がいないことが課題でした。そこで白羽の矢が立ったのが、娘のパイク氏でした。
彼女は、NASAの協力を受けて開発された追跡技術によって収集された2,000万本以上のシュートデータを機械学習で解析し、シュート成功に共通するパターンを科学的に明らかにしていきました。この研究成果はNBA幹部の前でも発表され、従来の感覚的なシュート評価を見直し、データに基づいた選手育成の重要性を示す論文の原型となりました。
そしてこの研究は、シュートトラッキングシステムNoahへと応用され、最終的にはステフィン・カリー選手自身のトレーニングにも取り入れられていくことになります。
カリーの精密シュートへの挑戦
当時すでにリーグ屈指のシューターだったカリー選手ですが、単にシュートが入るだけでは満足していませんでした。彼が追求していたのは、スウィッシュの再現性を極限まで高めることでした。
そこで導入されたのが Noah でした。このシステムにより、シュートがリング平面を通過した正確な位置を瞬時に把握できるようになりました。
理論上、リング中心から左右に 5インチ ずれていてもスウィッシュになる可能性はあります。しかしカリー選手はさらに精度を追求し、自分の基準をより厳しく設定しました。
具体的には、
3ポイントシュートでは左右のずれを±3インチ以内
フリースローでは±2インチ以内
この範囲に収まったシュートのみを「成功」と定義し、その基準を満たす精度を身につけるためのトレーニングを行っていました。
データが示すシュート精度

Noah Basketballのデータサイエンティストは、NBA選手の数百万の3ポイントシュートを分析した結果を以下のように示しています:
リング中心の直線的シュート:成功率79%
左右1〜2インチのずれ:ほぼ変化なし(79%→77%)
左右3インチのずれ:わずかに低下(74%) :カリー選手の成功の基準(黄色の範囲)
左右4〜5インチのずれ:急激に低下(67%→55%)
左右6インチのずれ:28%
カリー選手は、このデータをもとに「左右±3インチ以内」にシュートを収めることを明確な目標として設定しています。
感覚ではなく、数値に裏打ちされた基準が、彼の安定した精度を生み出しているのです。
シューティングのルーティン

カリー選手のトレーニングは、質を最優先に設計されています。
週に1〜2回、心拍数を上げた試合に近い状態でシュート練習を実施→ 疲労時でもフォームを崩さないための練習
左右のブレは 音声フィードバック で即座に確認リングの左端を「-9」、中心を「0」、右端を「+9」として数値化
トレーニング時間は最長でも 約90分
総シュート数を追うのではなく、1本ごとに得られる情報とフィードバックを重視します。つまり、何本打ったかではなく、そのセッションでどれだけ学び、修正できたかがトレーニングの基準なのです。
精度が落ちた時点でセッションを終了
Noahのデータサイエンティストによれば、シュートの深さと左右位置の一貫性が、成功率を最も正確に予測する指標だといいます。
まとめ
カリー選手は、これまでの経験や感覚だけに頼るのではなく、データと最新テクノロジーを活用することで、シュート精度を極限まで高めてきました。 Noahを用いることで、フォームのわずかなズレやシュート軌道を可視化し、音声フィードバックによってその場で修正することが可能になっています。
また、限られた時間の中でも「量より質」を重視したトレーニングを積み重ねることで、疲労やプレッシャーがかかる試合に近い状況でも、高い精度を維持できるようになっています。
この取り組みは、トップレベルのスポーツにおいて、才能や経験だけでなく、科学的アプローチとデータ活用が勝利を左右する重要な要素であることを示していると言えるでしょう。
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※本記事は、下記を翻訳・加筆修正を行い、提供しております。



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