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サッカー界の激震:MLSが世界一のリーグとなる日が近い




シーズン開幕が5月10日に延期されていた米メジャーリーグ・サッカー(MLS)が、その予定を再び変更し、6月8日まで延期となることが決定。リーグは、通常通り1チーム34試合ずつ開催する事を望んでいるが、リーグのコミッショナーであるドン・ガーバー氏は予定通り開催されたとしても、殆どの試合が無観客試合になる可能性が高い事を認めている。

これは、チケット販売に依存しているリーグにとっては大きな痛手だ。シアトル・サウンダーズのオーナー、エイドリアン・ハナワー氏によると、その損失額は最終的に開催される試合数に関わらず、数億から数十億ドルにまで及ぶ見込みとのこと。しかし、短期的な損失にも関わらず、MLSは新型コロナウイルスがリーグに及ぼす影響を最小限に抑えられる事が予想されている。その理由は、MLSには昇降格制度が無く、サラリーキャップ(各チームが所属する選手に支払う年俸総額の上限)が設定されているという点にある。これが、各チームのオーナーが他のサッカーリーグのチームオーナーと比べ、財政的余裕を持っている大きな理由だ。

過半数以上のブンデスリーガのチームが破産に追い込まれる可能性がある等、コロナが世界中のサッカーリーグに大きな損失を齎す中で、このMLSの構造が各チームへの影響を最小限に抑えているのだ。また、サラリーキャップに加え、NYCFC、ナッシュビル・SC、FC・シンシナティを除く全てのチームがスタジアムを所有している事から賃貸関連等のランニングコストの懸念が殆ど無い。

世界的不況の中では、財政的な理由からMLSの各チームが有望な選手の放出に動き出す事を予想する者もいるだろう。しかし、NYCFCのスペイン語実況を担当するロベルト・アブラモウィッツ氏は、「MSLのチームオーナーには富裕層が多い為、(コロナの影響で)移籍料が減少する場合、世界最高峰の選手を獲得する事が安易となる。そして、それらの契約がスタジアムへの来場者数増加とテレビ視聴率向上の原動力となる可能性がある」と、この経済危機がMLSにとって優位となる可能性について言及している。これは、MLSの放送権が2022年に更新される予定である事からも、オーナー達が今後2シーズンにわたり視聴率を高め、最終的にテレビ契約の価値を上げる為に動き出す事が予想される。

更に、現在噂されているMLSとメキシコのリーガMXの合併が、放送収入の増加に繋がる可能性がある。昨シーズン、メキシコにおけるリーガMXの決勝戦の視聴回数は330万で、米国・カナダにおけるMLSの決勝戦の200万回を遥かに超えている事に加え、この合併により獲得できる追加リソースは、放送局にとってより魅力的となる。アブラモウィッツ氏は、この合併が2026年まで実現しないと予想しているが、財政問題を抱えるリーガMXの状況がリーグ中断により悪化した事に鑑みると、双方が合併で合意に至るタイミングが早まる事も予想できるだろう。

【スポヲタ考察】

欧州サッカーもそうだが、日本のプロ野球を除くBリーグ、Jリーグ、Vリーグといった主要リーグには、昇降格制度が存在する。この制度はリーグをよりスリリングなものにするという効果がある半面、下部リーグへ降格してしまったチームは有力選手の獲得が困難となる為、公平性が懸念となってしまう。また、これはサラリーキャップに関しても同じ事が言えるだろう。サラリーキャップ制度が無いリーグでは、どうしても財政力があるチームに優秀な選手が偏ってしまうケースが多いからだ。

今回のコロナの事例で見られた様に、上記制度の導入は公平を保つ為のみでなく、危機的状況下で各チームが財政的な安定を保つ上でもメリットがあるの事が証明された。スポーツリーグが中断を余儀なくされる危機的な状況下では、必然的に多くの大型契約を抱えるチームがより大きな痛手を負ってしまう。これらの制度により安定性を保つ事に成功していたMLSチームは、その他リーグの危機的状況を逆手に取り、ピンチをチャンスに変える事が出来そうだ。

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