スポーツアナリティクスの進化が目覚ましい現代、ハンドボールの分野においてもデータ駆動型のパフォーマンス管理が注目を集めています。今回のインタビューでは、ドイツハンドボール連盟のヘッド・ストレングス&コンディショニングコーチであるサイモン・オーバーカンプ博士の知見をもとに、スポヲタ社が日本で提供する最新鋭パフォーマンス・負荷計測システム「KINEXON」のデータ活用によるパフォーマンス向上と怪我予防の取り組みについて紹介します。
ハンドボール全カテゴリーを網羅したトレーニング管理
オーバーカンプ博士は、男子・女子のシニアチームだけでなく、U18やU20チーム、さらには近年急成長を遂げたビーチハンドボールチームのストレングス&コンディショニングも監督しています。同氏は、選手のパフォーマンスや負荷管理に関する情報をクラブチームと共有し、シームレスな連携を図ることを大切にしています。
主観的データと客観的データのバランス
オーバーカンプ博士の哲学の一つに、「主観的データと客観的データのバランス」があります。選手のトレーニングデータだけでなく、学業や私生活など、スポーツ以外のストレス要因も把握し、アスリートの総合的な健康状態を考慮しています。一方で、客観的データとしては 「速度ベーストレーニング(VBT)」に注目しており、バーベルのスピードが選手の疲労度や準備状態を示す指標となっています。
データの進化とトレーニング調整
オーバーカンプ博士は、かつてのデータ収集は主にGPSを用いたものでしたが、現在では、「慣性計測装置(IMU)」を使用しており、加速や減速、ジャンプの高さなど、より詳細なパフォーマンス指標を得ることができます。このデータを元に、試合やトーナメントにおける激しいスケジュール(年間60〜70試合)に対応できるよう、トレーニング負荷を適切に調整しています。
男女間でのデータの使い方と選手の反応
オーバーカンプ博士は、男女でデータの収集方法に大きな違いはないと述べていますが、女子選手は自分のデータに対して積極的にフィードバックを求める傾向があり、データ活用の効果をさらに高めていると指摘しました。このような選手の「データに対する関心」が、パフォーマンス向上に貢献しています。
負荷管理と怪我予防
ハンドボールは、バスケットボールやラグビーに似た身体的負荷が大きいスポーツです。特にトーナメント期間中の9試合を18日間で行うという過酷なスケジュールの中で、選手の疲労度を管理し、怪我のリスクを減らすためには、データに基づいた負荷調整が不可欠です。オーバーカンプ博士のアプローチは、特にACL(前十字靭帯)損傷の減少に効果を示しており、怪我のリスクを抑えつつ、選手が最高のパフォーマンスを発揮できるよう支援しています。
将来の展望と課題
オーバーカンプ博士は、データを活用したアプローチが未来のスポーツにおける主流となると予測していますが、特に女子スポーツではまだ技術リソースが不足していると感じています。彼の17人の女子オリンピック選手の中で、クラブレベルでウェアラブル技術を使用しているのはわずか1人に過ぎません。これが男子選手では全員が使用していることと対照的です。オーバーカンプ博士は、今後より多くのクラブがデータ駆動型アプローチに投資することで、選手の健康維持とチームの成功に繋がることを期待しています。
オーバーカンプ博士のインタビューは、データ解析がいかにスポーツの未来を変革しつつあるかを示しています。スポーツの世界での技術革新が進む中で、アスリートのパフォーマンス向上や怪我予防への期待がさらに高まるでしょう。
スポヲタ社は、KINEXONをはじめとする最新技術を通じて、日本のスポーツ界におけるデータ活用の進展をサポートしています。興味をお持ちの方や、コラボレーションを希望する方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
※本記事は、下記を翻訳・加筆修正を行い、提供しております。
Comentarios