WHU-Otto Beisheim経営大学が行なったドイツブンデスリーガの観戦視聴者調査によると、いわゆる『Z世代』と呼ばれる若年層(10~22歳)は、他の世代よりも、高品質のコンテンツを望み、それらに対して対価を支払うことを望んでいるというという。
『Z世代』は、それ以上の層と比べて、フルタイムで試合を観る可能性は低い。その代わり、より個別化されたコンテンツに対しての関心が高い。例えば、特定の国の選手や、ゴールキーパーなど、それぞれに重点を置いたハイライトであったり、試合中に表示されるデータや、関連シーンのクリップ集など、本来のコアコンテンツである試合を、より面白く観るために用意された、補完的なコンテンツが『Z世代』には求められている。
また『Z世代』の特徴として、試合観戦中にスマートフォンなどを使って試合情報を得たり、試合に関するコメントを発信している割合が高いことが挙げられる。こうした視聴の仕方におけるスマートフォンの使い方を「セカンドスクリーン」と呼んでおり、今後こうした視聴が一般化していくと考えられている。『Z世代』では既に3割以上が「セカンドスクリーン」を使いながらの、いわゆる「ながら視聴」を行っている。
コンテンツをいかにスマートフォンで発信していくか、「セカンドスクリーン」を介してコンテンツをどれだけ盛り上げられるか、コンテンツホルダーにとって今後重要な検討事項となるだろう。
ちなみに『Z世代』の38%は、実際の試合視聴ではなく、バーチャルでの試合観戦を検討しているという。つまり、一試合通して試合映像を見続けようという視聴者は減っていく可能性があるのである。
フルタイムの視聴者は少なく、視聴者の3割は「ながら視聴」、更にはバーチャルでの視聴でも構わないという事実からすると、『Z世代』は一見、最もブンデスリーガに対する関心が薄い層のように感じる。だが、実際はその逆である。
上記は、試合日にどれだけブンデスリーガのコンテンツに対して時間を費やしているかを数値化したものである。『Z世代』は最多の4.5時間もブンデスリーガのコンテンツに費やしているのである。
つまり『Z世代』は最もブンデスリーガに対する関心が高いのである。だからこそ彼らは、単純に試合を視聴するだけの層よりも、より高品質で、かつ個人の好みに即したデジタルコンテンツを求めており、それらに対して対価を払うことを望むのだろう。
事実、オンラインによる有料コンテンツ登録者数は年々増加している。
▼考察
スマートフォンの普及とOTTにより、スポーツ観戦のあり方は大きく変化してきた。いつでもどこでも手軽に試合の視聴が出来るようになり、スタジアムやスポーツバーではなく、SNSを通して、誰かと一緒に観戦する疑似体験も出来るようになった。
多忙な現代人にとっては、例えばサッカーを90分間フルタイムで視聴するよりも、気になるチーム、気になる選手のハイライトのみを視聴する方が適しているだろう。
スポーツ観戦に対するニーズが多様化していくからこそ、より個別にカスタマイズ可能なデジタルコンテンツが、どのように視聴者を惹きつけていけるかは、これからのスポーツ観戦の価値を左右するカギになるだろう。
▼参考
スポヲタ/ 前田
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